教員になるには一般的に採用試験を受ける必要があります。大きく公立学校と私立学校に分かれますが、ここでは公立学校の採用について説明をします。
公立学校は各都道府県や各政令指定都市などの教育委員会によって実施されます。
公立学校の試験に合格すると採用候補者名簿に登録され、公務員として正規職員になります。この他、年度ごとに雇用契約を結ぶ臨時職員的な教諭、常時勤務する常勤講師があります。
採用試験の種類には小学校、中学校、高等学校、養護教諭、栄養教諭、特別支援学校の区分があります。
小学校の先生は基本的にすべての科目を1人で担当します。
中には音楽や体育など専門に教える先生を配置する小学校もあり、2人の教師で教えるチームティーチングの取り組みもあります。
6~12歳末の人格形成に大きな影響を与える時期のため、子どもたちの個性を伸ばし、人間性豊かに育てる役目もあります。給食やホームルーム、テストの採点、学級会や運動会の準備、遠足、家庭訪問などもあり、授業の他、さまざまな仕事があります。
中学校の先生は小学校とは異なり、各教師が専門の科目を持って授業を行います。
中学校では教科指導がメインになります。
中学校ではどの教科も難しくなり、暗記することも増えるため、いかに生徒に分かりやすい授業を行うか、創意工夫が求められます。
また、高校受験を控えた生徒の指導も重要です。
授業以外で部活動指導を放課後や休日に行ったり、クラスが一致団結できるよう生徒指導を行ったりします。他にテスト作成・採点、学校行事の準備、進路指導などさまざまな仕事があります。
高校教師の仕事は多岐に渡ります。
授業の組み立て、生徒とのコミュニケーション、親との折衝、進路相談、部活動、模擬授業、学校行事の主催などが代表的です。
学習指導要領に沿った1年間の授業プラン、プリントや練習問題の作成もあり、専門知識を磨くための日々勉強が必要です。生徒の気持ちや状況を把握し、適切な助言や指導を行い、進路相談では親と一緒に考えて解決する必要があります。
部活動の顧問、夏休みや春休みに模擬授業を考え、修学旅行、文化祭、運動会の運営を支える役割もあります。
養護教諭は保健室の先生です。
保健室の応急処置だけでなく、学校全体の保健衛生の管理を行います。健康診断の管理、保健室を訪れる生徒の相談やカウンセリングの役割もあります。
栄養教諭は栄養士・管理栄養士の資格と教員免許を持つ新たな教員資格です。学校給食の管理・運営に加え、食に関する指導で、学級活動や総合学習で栄養に関する授業を行います。
特別支援学校教諭は障がいを持つ児童や生徒を指導します。小学生から高校生までの児童・生徒を指導し、授業だけでなく、身の回りのことなど手厚い支援を行います。
全国各地の国立・公立・私立の小学校に勤務します。
公立小学校がもっとも数が多く、国立小学校は教育研究校と位置付けられ、ハイレベルな授業が行われます。
全国各地の国立・公立の中学校に勤務します。
全国各地の国立・公立の高等学校に勤務します。国立の高校は国立大学附属が多いです。公立は県単位で採用され、どこの高校に配属されるか分かりません。
養護教諭は国立・公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などに勤務し、多くの場合、1人採用です。幼稚園に配置されている場合もありますが、数は少ないようです。
栄養教諭は国公立の小学校・中学校・高等学校などに勤務します。2005年に始まったばかりで、まだ採用している学校が少ない状態です。
特別支援学校教諭は旧養護学校・旧盲学校・旧ろう学校の特別支援学校に勤務する他、小中高校に勤務し、障害児学級を担当します。
教育大学でなくても、教職課程のある大学・短大・大学院であれば、小学校教諭の免許は取得できます。また、教職課程を取っていない一般大学の学生も教員資格認定試験を受ければ、小学校教諭免許を取得できます。
教育大学でなくても、教職課程のある大学・短大・大学院であれば、中学校教諭の免許は取得できます。
教育大学でなくても、教職課程のある大学・大学院であれば、高等学校教諭の免許を取得できます。
養護教諭、栄養教諭は教育大学でなくても、それぞれの免許を取得できる大学・短大であれば、免許を取得できます。栄養教諭は栄養士または管理栄養士の免許も必要です。特別支援学校教諭も教育大学でなくても、教職課程のある大学・短大・大学院であれば、特別支援学校教諭の免許を取得できます。
公立小学校教諭は地方公務員となるので、40代になれば年収は700万円ほどになります。教頭や校長になれば給料・年収もアップします。
公立中学校教諭は地方公務員となり、平均年収は約550~750万円です。副校長や校長になれば役職手当が付き、さらに給料・年収もアップします。
公立高等学校教諭は地方公務員で、平均年収は約600~700万円です。副校長や校長になればさらに給料・年収はアップします。
養護教諭は勤務先の学校の種類によって年収が変わり、小学校、中学校、高等学校それぞれの教諭に準じます。栄養教諭は勤務先の学校によりますが、栄養士の年収300~500万円が目安になります。特別支援学校教諭は一部の私立を除いて地方公務員で、同年代の教諭より少し高めの給与となっており、年収は高めです。求められる専門性の高さを反映しています。
教職課程のある大学・短大・大学院で教職課程を修了し、小学校教諭免許を取得することが必要です。教職課程を履修していない場合は教員資格認定試験に合格すれば、免許を取得できます。
公立の採用倍率は4.5倍で、中学校、高等学校に比べると低くなっています。
公立学校は各自治体によって異なります。一般的には第1次試験が7月上旬から下旬、第2次試験が8月上旬から9月下旬に実施されます。
公立小学校教諭の受験料は無料です。
試験内容は各自治体で異なります。
公立は一般的に第1次試験で教職教養、一般教養、専門教養試験があり、他に論文、集団面接試験を行う学校もあります。第2次試験で模擬授業、個人面接、集団討論、集団活動などがあり、ピアノの弾き語り、デッサン、水泳実技なども行います。
また、適性検査も多く実施されます。
教職課程のある大学・短大・大学院で教職課程を修了し、中学校教諭の免許を取得することが必要です。
公立の採用倍率は7.5倍で、小学校より高くなっています。
公立学校は各自治体によって異なります。一般的には第1次試験が7月上旬から下旬、第2次試験が8月上旬から9月下旬に実施されます。
公立中学校教諭の受験料は無料です。
試験内容は各自治体、各私立中学校で異なります。公立は一般的に第1次試験で教職教養、一般教養、専門教養試験があり、他に論文、集団面接試験を行う学校もあります。第2次試験で模擬授業、個人面接、集団討論、集団活動などがあります。また、適性検査も多く実施されます。
教職課程のある大学・大学院で教職課程を修了し、高等学校教諭の免許を取得することが必要です。
公立の採用倍率は約8~9倍で、小学校、中学校より高くなっています。
公立学校は各自治体によって異なります。一般的には第1次試験が7月上旬から下旬、第2次試験が8月上旬から9月下旬に実施されます。
公立高等学校教諭の受験料は無料です。
試験内容は各自治体、各私立高等学校で異なります。
公立は一般的に第1次試験で教職教養、一般教養、専門教養試験があり、他に論文、集団面接試験を行う学校もあります。第2次試験で模擬授業、個人面接、集団討論、集団活動などがあります。また、適性検査も多く実施されます。
養護教諭、栄養教諭はそれぞれの免許を取得できる大学・短大で、免許を取得します。栄養教諭は栄養士または管理栄養士の免許も必要です。特別支援学校教諭も教職課程のある大学・短大・大学院で、特別支援学校教諭の免許を取得することが必要です。教職課程を履修していない場合は、特別支援学校教員資格認定試験に合格すれば、免許を取得できます。
養護教諭は小学校・中学校・高等学校と比較すると、難易度は若干高く、倍率も高めです。栄養教諭は管理栄養士国家試験に比べれば、難易度は低いと思われます。別支援学校教諭は小学校・中学校・高等学校教員採用試験の倍率と比較すると低いですが、3~4.5倍は維持されています。
公立学校は各自治体によって異なります。一般的には第1次試験が7月上旬から下旬、第2次試験が8月上旬から9月下旬に実施されます。
公立養護教諭、栄養教諭、特別支援学校教諭の受験料は無料です。
養護教諭は主に学校保健、学校環境衛生、健康診断、健康観察・健康相談、疾病予防、応急処置、養護教諭の職務、専門知識、学習指導要領から出題されます。栄養教諭の筆記試験は一般教養、栄養教諭専門です。
特別支援学校教諭は各都道府県の教員採用試験内で一括して行われ、小学校・中学校・高等学校教諭と同様の出題内容です。個人面接では特別支援学校の実情について、集団面接では話題になっているトピックに関する出題が多いです。