警察官も消防官もどちらも公務員採用試験を受験します。
警察官には国家公務員と地方公務員があります。警察官になるには警察庁、皇宮警察本部、各都道府県が実施する採用試験を受ける必要があります。都道府県警に採用されると全寮制の警察学校に入り、6~10ヶ月の研修を受け、現場に配属されます。
消防官は各地方自治体で採用される公務員で、消防吏員、消防職員などと呼ばれます。消防官になるには各地方自治体で実施する消防吏員採用試験や、消防職員採用試験を受ける必要があります。試験に合格すると各自治体の全寮制の消防学校に入学し、約半年後、消防署に配属されます。
警察官との違いは、消防官はすべて地方公務員というところです。そして、仕事内容も大きく異なります。
警察庁勤務の場合は国家公務員として働きます。警察組織の幹部としてキャリアアップしていく、いわゆるキャリア組です。
皇宮警察本部に勤務する場合は、国家公務員の皇宮護衛官として働きます。天皇皇后両陛下や皇族の護衛、皇居や御用邸などを警備する特別な職務に従事します。
都道府県警察本部に勤務する場合は地方公務員として働きます。警察官のほとんどは都道府県警に所属し、交番勤務、または刑事課や交通課など各部署に配属されます。
各消防署に勤務し、通報を受ければ現場に急行し、人命救助、消火活動に当たります。消火活動や救命活動の要請がないときも、日々、専門的な訓練や体力トレーニングに取り組んでいます。命を救う技能を向上させるため、配属後も実務経験を積みながら、資格取得などでスキルアップすることが求められます。
具体的には病院に搬送するまで処置を適切に行う救急救命士、消火器やスプリンクラーの点検を行う消防設備士などがあります。
警察官は交番、消防官は消防署というのはもちろんですが、警察官は交番以外にも様々な仕事があります。
警察庁採用の場合はキャリア組として、警察庁に就職します。国家公務員として働くため、全国に転勤する可能性があり、昇進するにつれ、転勤の回数は増えるとされます。
皇宮警察本部採用の皇宮護衛官は皇宮警察学校を卒業後、皇居または赤坂御用地内の護衛署に配属されます。約3ヶ月勤務後、再度皇宮警察学校で初任補習科生として2~3ヶ月の訓練を受け、配属が決まります。
都道府県警採用の場合は交番勤務からスタートするのが一般的です。その後、希望や適性に応じて刑事課や交通課など各部署に配属されますが、他道府県への転勤はありません。
各自治体の消防本部や消防署に勤務します。全国には2015年時点で750の消防本部、1709の消防署、3145の消防署の出張所があります。
警察官・消防官の年収はどれくらいなのでしょうか。
私たちの安全を守る仕事なので高収入なのは間違いないでしょうが、区分などはあるのでしょうか。
国家公務員、地方公務員、採用区分、大卒や院卒など学歴レベルにより異なります。また、給料は9級に区分された階級制で決まります。国家総合職は800~900万円、国家一般職は700~800万円です。地方公務員の場合は巡査、警部補など階級により平均年収は約500~800万円です。
消防官は危険を伴う職務であり、2交替、3交替などハードな勤務であるため、一般的な地方公務員より給料、年収は高額です。また危険作業手当、非常災害業務手当、消防業務手当など多くの特殊勤務手当が付きます。
消防官の平均年収は約700万円です。
【 警察官 】
国家総合職、一般職は大卒レベルで21歳以上30歳未満です。
皇宮護衛官は大卒程度と高卒程度の2種類があり、どちらも21歳以上30歳未満です。
地方公務員は学歴別に大卒程度のⅠ類、短大卒程度のⅡ類、高卒程度のⅢ類があります。Ⅰ類は21歳以上30歳未満、Ⅱ類は19歳以上30歳未満、Ⅲ類は17歳以上30歳未満となっています。
また、身長や体重、色覚・聴覚などの身体要件もあります。
【 消防官 】
各自治体や採用区分、学歴レベルにより異なりますが、年齢制限は18~30歳までとなっています。また、身長や体重、色覚・聴覚などの身体要件もあります。
【 警察官 】
国家総合職試験は合格者の中から、毎年15名程度しか採用されないため、相当狭き門です。国家一般職は他の職種と同様と考えて良いでしょう。
皇宮護衛官は採用数が少ないため、例年合格率は高くなっています。大卒程度は33倍以上、高卒程度は36倍以上となっていますが、女性も合格しています。都道府県警全体の競争倍率はここ10年、7~10倍の間を推移しています。
【 消防官 】
人気職種であり、各消防署で欠員が出にくいこともあり、どの自治体も比較的倍率は高めです。東京消防庁の場合、大卒程度のⅠ類は約6~10倍、短大卒程度のⅡ類は約11倍、高卒程度のⅢ類は約13倍です。
【 警察官 】
国家総合職は4月頃、一般職は6月頃、年1回実施されます。皇宮護衛官の大卒程度は年1回、5~6月に、高卒程度は9月に実施されます。都道府県警の採用試験は各都道府県によって異なり、年に複数回行う場合もあります。
東京都(警視庁)ではⅠ類が4月、9月、1月頃の年3回、Ⅱ類は4月頃の年1回、Ⅲ類は9月、1月の年2回実施されます。女性はⅠ類、Ⅱ類が4月頃、Ⅲ類が9月頃の年1回ずつ実施されます。
【 消防官 】
各自治体、区分により採用試験の日程は異なります。東京都消防庁の場合、Ⅰ類は5月頃、Ⅱ類は6月、Ⅲ類は9月に年1回、実施されます。Ⅰ類、Ⅱ類の試験会場は東京ですが、Ⅲ類は全国9ヶ所で開催されます。
【 警察官 】
無料です。
【 消防官 】
各自治体によって異なります。
【 警察官 】
国家総合職(法律区分)は基礎能力、専門試験の選択式、記述式、政策論文試験、個別面接があります。国家一般職(行政区分)は基礎能力、専門試験の選択式、記述式、一般論文試験、個別面接です。都道府県警の試験内容は各都道府県、区分により異なります。
東京都(警視庁)では教養試験、論文試験、個別面接、適性検査、身体検査、体力検査が課されます。面接では志望動機を重視されます。
【 消防官 】
各自治体、区分により試験内容は異なります。東京都消防庁の場合、Ⅰ類は教養試験、論文試験、適性検査、身体・体力検査、個別面接が行われます。身体・体力検査では視力・聴力の他、反復横跳びなど体力検査もあります。面接では志望動機などを通じ、消防官に相応しい人物かどうかを判断されます。