個人や会社法人など、さまざまな顧客から依頼され、国や県、市・区役所など官公署に提出する書類作成や申請を代行する行政書士。
仕事を行うには国家資格を取得する必要があります。
一般的には国家試験を受験しますが、法律専門職の資格取得や、一定年数の行政事務経験でも取得することは可能です。
ただし、他の法律専門職は弁護士や弁理士などで、難易度が非常に高く、行政事務経験も17年から20年以上と大変長いです。そのため、行政書士を目指すための方法としては現実的ではありません。もっとも現実的な方法は、国家試験に合格することです。
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主な仕事は書類作成業務、許認可申請の代理、相談業務です。
日常生活を送る上で、また会社や商店を経営している場合、官公署に提出する書類が多くあります。
専門知識がないと書類の作成が難しかったり、手続きが煩雑だったりするケースも少なくありません。
そのようなケースで専門的知識を持つ行政書士は、書類の作成代理人として法的トラブルが起きないように契約書等の作成をします。
作成する書類の多くは許認可等に関するもので、さまざまな種類があります。会社設立時、飲食店の開業、相続手続き、自動車関連、産業廃棄物許可関連、内容証明郵便などその数は1万を超えるとされます。
また、相続手続きに関する相談や、企業の経営・法務相談などコンサル的な相談業務も重要な仕事です。
書類作成業務が多いですが、顧客との打ち合わせや作成した書類の提出などで、外出することがとても多いです。
顧客から相談を受け、作成する書類の打ち合わせを行い、収集した各種資料を参考に書類を作成します。
書類の提出後、許認可が下りると、顧客に連絡して対応します。
行政書士事務所に就職する場合は、多くが小規模の事務所のため、正社員での求人は少ない傾向があります。
契約社員やパートなど雇用形態に拘らなければ、求人数は相応にあります。
最近は子育て中の女性が自分のスケジュールに合わせ、パートで業務を行なったり、副業で行なったりする人も増えています。一般企業に就職すると行政書士の仕事はできませんが、資格試験で身につけた法的知識を法務や総務部門で活用することもできます。
また、基本的に独立・開業する資格であるため、多くの有資格者は開業の道を選びます。
ただ、最初から顧客は集まらないため、行政書士事務所や法律事務所に勤務し、実務を学ぶことからスタートする人が多いです。
またはいきなり開業するリスクを回避するため、会社勤めをしながら、副業として始める人もいます。
一定の顧客を得られるようになれば、独立・開業することも可能です。
法律の専門職で独立も可能な行政書士は、高い報酬が期待できるイメージがありますが、勤務先によって報酬や待遇に差があります。
行政書士が依頼された業務に対する報酬額は、各行政書士の裁量で自由に決めることができます。
ただ、サービス業で価格を極端に上げることはできず、近年は単価が下がる傾向にあるため、高い報酬を得ることが難しいです。
一般的に平均年収は500万円以下とされ、高い年収を得る人は限られています。
独立・開業する人は多いですが、収入に大きな違いがあります。
成功している人は年収1,000万円を超えますが、年収300万円でギリギリ生活しているという人もいます。
行政書士の中には社会保険労務士や税理士など、他の関連資格を取得している人も多いです。ダブルライセンスにより、担当する業務の幅が広がり、年収1,000万円を超えることも可能です。
行政書士の国家試験の合格率は10%前後ですが、独学で合格する人もいます。
スクールや講座の費用を最低限に抑えられ、マイペースで勉強できますが、デメリットもあります。
出題範囲が広く、しっかり学習スケジュールを立てる必要があり、モチベーションの維持も必要です。
思考力を問う出題も増えているので、基礎力から応用力まで身につける必要があります。
スクールや講座を受講すれば、より効率的に試験対策を行うことができます。
年齢、学歴、国籍などの条件はありません。
例年10%前後を推移しています。平成29年度のみ、近年でもっとも高い15.7%でした。
年一回、例年11月に全国の試験会場で実施されます。
7,000円
択一式、記述式の筆記試験で行われます。試験科目は「行政書士の業務に必要な法令等」、「行政書士の業務に関連する一般知識等」です。
出題例)
無効の行政行為に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1 無効の行政行為については、それを争う訴訟として無効確認訴訟が法定されており、その無効を実質的当事者訴訟や民事訴訟において主張することは許されない。
2 無効の行政行為については、それを取り消すことはできないから、たとえ出訴期間内であっても、それに対して提起された取消訴訟は不適法とされる。
3 無効の行政行為については、当該処分の取消訴訟について、個別法に審査請求前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。
4 無効の行政行為については、客観的に効力が認められないのであるから、その無効を主張する者は、何人でも、無効確認訴訟を提起して、これを争うことができる。
5 無効の行政行為については、その執行は認められず、これを何人も無視できるから、無効確認訴訟には、仮の救済のための執行停止制度の準用はなされていない。
(一般財団法人行政書士試験研究センター公式サイト 平成29年度行政書士試験問題より)