弁護士・検察官・裁判官は法曹三者と言われ、司法試験に合格し、多くは司法修習を経てそれぞれの職業に就くことができます。どの職業に就くのかは、司法修習期間に本人の特性や希望などにより決定します。法曹に就くためのルートは、司法試験の受験資格の取得により、大きく2つに分かれます。
予備試験ルートは学費負担を抑えられます。しかし法科大学院修了者レベルの知識が必要なため、難関の試験です。
独学で勉強を進めるには、対策が必要な試験といえます。
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同じ司法試験を受けるのに、弁護士・検察官・裁判官とそれぞれ仕事の内容は変わってきます。法を知るもの同士、場合によっては敵対という状況になることもあります。どんな仕事をするのかを確認してみましょう。
トラブルの解決を巡る裁判で、代理人として弁護や主張を行い、予測される事態に備えて予防策を講じたり、適切な助言を行ったりします。
民事事件では交通事故や離婚の他、会社関連の社会的な事件など担当し、刑事事件では被疑者・被告人を弁護し、減刑を主張します。
新しいビジネスモデルの法的リスクを検討したり、企業のM&Aに関する契約書作成や交渉を請け負ったりという業務もあります。
法律の専門家として社会に密着できる仕事です。
警察が捜査した事件の被疑者が犯人なのかを確かめ、起訴する判断を行う起訴権を独占しています。
起訴・不起訴の決定は検察官の裁量にかかり、犯人に更生する可能性がある場合、起訴しないケースもあります。
被疑者・被害者双方と直接、接点が持てるので、両者の主張を聴くことになり、さまざまな人間模様を実感することができます。
人間の虚実を見抜く力が必要で、責任も大きいですが、やりがいもある仕事です。
憲法と法律に従い、公平な立場で紛争に妥当な判断を下し、裁判の最終的な判断である判決を言い渡します。民事裁判なら当事者双方から、刑事裁判なら検察官と弁護人双方からの主張を聞き、何が正しいのか法律に照らして判断を下します。
裁判官の下す判決は先例となり、その後の裁判にも影響を与えます。
現在、係争中の人たちに与える影響だけでなく、自ら下した判決が社会に影響を与え、後世にも残る仕事です。
弁護士・検察官・裁判官と同じ司法試験の合格者でも、仕事内容が違うように就職先も違ってきます。
どのように違うのかを確認してみましょう。
法律事務所への就職が一般的で、その後、独立することが可能です。
他に地方の弁護士不足解消のために、日弁連が開設したひまわり公設事務所、国が出資する法テラスもあります。
官公庁や地方自治体の公務員として専門知識を活かし、法改正や政策作成に関わることもできます。
または議員事務所で政策秘書として政策研究や法案準備を行う道もあります。
企業の役員や社員として勤務する企業内弁護士として法律事務を行うことも可能です。
大学法学部や法科大学院で学生を教える大学教授や講師になる人もいます。
法務省の検察庁に勤務し、検察庁には最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁があります。
高等検察庁は全国8ヶ所にあり、高等裁判所に設置されています。
法務省などの行政機関や民間、海外の組織、国際機関に出向することがあり、さまざまな事件を担当する経験を積むことができます。
職務の性質上、同じ勤務先に長く務めることはなく、約2年ごとに転勤辞令が下ります。
全国に8ヶ所ある高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所など全国各地の裁判所に勤務します。
最高裁判所の裁判官になる道も開かれています。
裁判所は全国に1,000庁以上設置され、裁判官が常駐して勤務することになります。
裁判所以外では高度な法律の知識を必要とされる、国の機関に勤務するケースもあります。
裁判官は裁判の公平性を保証し、全国均一の司法サービスを提供するため、多くは3年サイクルで転勤を繰り返します。
とても豊富な知識、各仕事に要する時間など大変そうな仕事ですので、年収はどれくらいか気になるところ。
3つの職業でそれぞれ違いはあるのでしょうか。
2015年版の弁護士白書によれば、平均年収は2,402万円で、経費などを除いた所得は907万円となっています。
もっとも多い数値を示す中央値の年収は1,430万円で、中央値の所得は600万円です。
働き方の多様化が進み、収入面でも独立開業と会社員とでは収入に差があります。
数年前と比較して弁護士の数が増えていることもあり、収入は減少傾向にありますが、以前として高収入が期待できる職種です。
国家公務員と同じく、俸給制で給与体系が決められています。
1号から20号の等級毎に定められ、2016年の検事20号の初任給は22万9,900円です。
1号の月収は117万5,000円と等級によって給与が上がり、等級は試験によって昇級できます。
検察官の平均年収は600~650万円とされ、一般のサラリーマンや国家公務員より年収は高いです。
法律で月額報酬が定められ、判事補、判事と段階的に昇給する仕組みです。
2016年の判事補の初任給は22万9,900円で、経験年数により昇給します。
高等裁判所長官が130万2,000円、最高裁判所長官は月収201万円です。
これに各種手当やボーナスが支給されます。
裁判官の平均年収は650~850万円となっています。
弁護士・検察官・裁判官の資格を得るためには、法務省が実施する司法試験に合格しなければなりません。
法科大学院課程修了または、司法試験予備試験合格者で、受験資格を取得した後の最初の4月1日から5年以内である者です。
予備試験は年1回実施され、短答式、論文式、口述式の3つの試験に順次合格することが必要で、受験回数の制限はありません。
ただし、予備試験の最終合格率は約4%と大変難易度が高く、多くは受験対策のため、講座やスクールを受講しています。
平成30年の合格率は29.11%で、合格者の最高年齢は68歳、最少年齢は19歳です。
合格者に占める女性の割合は、前年より約4ポイント上昇しています。
年一回、例年5月中旬の4日間で実施され、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡で開催されます。
受験手数料は28,000円で、受験願書に収入印紙として貼付します。
短答式は公法系・民事系・刑事系科目、論文式は3つの科目と選択科目から出題されます。
憲法の最高法規性に関する次のアからエまでの各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。
ア.憲法第97条は、憲法の保障する基本的人権を侵すことのできない永久の権利と位置付けており、憲法の最高法規性を実質的に根拠付けるものと見ることができる。
イ.日本国憲法において抵抗権が認められているという見解は、憲法が最高法規であることと矛盾する。
ウ.憲法がその国の法体系において最高法規と位置付けられる場合において、国家緊急権がその中に明文で規定されることはあり得ない。
エ.抽象的違憲審査制と付随的違憲審査制のうちいずれかの違憲審査制を採るかは、憲法の最高法規性から当然に導かれるわけではない。
(法務省公式サイト 平成30年司法試験問題より)