外務省の職員になるには国家総合職、外務省専門職員、国家一般職の3つの職種の採用試験があります。
一般的に外交官と呼ばれるのは、自国を代表して外交任務を行う資格を持つ外務専門職のことです。
外交官になるには3つの職種のうち、国家総合職または外務省専門職員の採用試験を受ける必要があります。
採用人数は大変少なく、特に国家総合職のキャリア外交官は例年30人弱程度です。
公務員の中でも最難関試験として知られ、内定者の学歴は公表されていませんが、東大や京大、有名私大などの難関大学出身者とされます。資格検定というより、外務専門職になるための採用試験です。
外交官は文字通り、海外の国との外交を担当する外務専門職です。
日本の安全、繁栄を確保し、日本国民の生命や財産を守ると同時に他国の国民の幸せにも貢献することが重要な使命です。
もっとも生活に身近なところでは、日本人の海外での安全確保があります。
渡航先の治安や災害発生などの現地情報の収集に当たり、海外安全ホームページに掲載しています。実際に旅行者や移住者が現地で事件や事故、災害に巻き込まれたときの安否確認や日本のご家族と連絡にも当たります。
また、ODA(政府開発援助)により、開発途上国の支援を行います。紛争や貧困など苦しい生活を送る途上国の人たちの生活を向上させるため、井戸を掘ったり、学校を建設して子どもたちの識字率を高めたりして働きかけます。
キャリア組として外務省で国益に直接関わる外交政策の企画・立案に関わります。また、主要国在外公館に派遣され、5~6年おきに本省と世界各地にある日本大使館など在外公館勤務を繰り返します。
将来的には本省の管理職や、主要国の大使として活躍する可能性があります。
地域・国別のエキスパートで、英語以外の言語を使いこなす部署に配属されます。
具体的には二国間外交でイベントなどを通じ、担当国と日本の関係を推進、ODAを利用した国際協力事業の管理などの仕事があります。
高い語学力があれば通訳官として重要な国際協力に関わる部署や関係団体に出向することもあります。外務省専門職員も5~6年おきに本省と在外公館勤務を繰り返します。
国家総合職として外務省に入省した場合の大卒の初任給は約21万円、40代になる頃が約38万円です。
国家公務員の場合は年齢=月収と言われており、外交官の基本的な月収もそれに準じます。
ただし、海外赴任になると、在勤基本手当と呼ばれる生活費が毎月支給されます。
赴任する国や職員の等級によりますが、10~50万円と幅があります。
ほかに住居手当、パートナーを伴う場合の配偶者手当、海外で教育を受ける子どもに対する子女教育手当などがあります。
すべての手当を含めると手当だけで50万円以上になることもあります。
海外生活の負担はありますが、海外赴任する外交官は高給を期待できます。一般的に外交官の年収は1,000~3,000万円、平均は1,400万円、大使や公使は2,200万円とされています。
国家総合職は他の総合職と同じ受験スケジュール、外務省専門職員は別日程で受験します。
国家総合職は大卒程度、院卒者ともに21歳以上30歳未満
外務省専門職員は21歳以上30歳未満で学歴は問いません。
ただし、日本国籍を有する者で外国の国籍を有する者は受験できません。
難易度が高いことで知られ、平成26年度の倍率は12倍、合格率は約8.3%でした。
また、国家総合職の倍率も11倍で合格率は約9.1%と1ケタ台です。
受験料は無料です。
大卒程度、院卒者は他の国家総合職と同様です。
区分は政治・国際区分で受験します。
出題内容は大きく変わり、政治学・国際関係の専門科目が重視されます。
政治学・国際関係学専攻の学生が受験しやすくなっています。
また、英語による出題の比重が高くなります。
1次試験で一般教養の基礎能力、時事論文、外国語試験が行われます。
専門試験では必須科目の国際法、憲法または経済学のいずれか1科目の試験科目を選び、記述式となります。
一般教養で一定の合格点に達しない場合は、他の試験科目の成績に拘わらず、不合格となります。
2次試験は外国語会話の口述、個別面接・集団討論の人物試験、身体検査が行われます。
外国語会話の口述では英語・フランス語・ドイツ語・ロシア語・スペイン語など18言語のうちから1ヶ国語を選択可能です。もっとも得意な言語で試験に臨むことができます。
外交官の試験は語学力と海外経験を積んだ留学経験者にとって有利です。
ただし、国際法や憲法、経済学の論文を記述する必要があり、独学で乗り切ることはかなり困難を極めます。
外務省専門職員試験に特化したTACのセミナーでは、そんな留学経験者をサポートしています。過去問などから徹底的に出題傾向を分析し、ムダを省いた合格教材で毎年、多くの合格者を輩出しています。